新関 良三
河北町の偉人
ふりがな
にいぜき りょうぞう
解 説
河北町名誉町民 昭和 44 年 5 月 30 日顕彰
明治 22 年(1889)8月4日、西村山郡谷地村横町(現河北町谷地)に、父平泉長三郎、母たにの4男として誕生しました。
谷地尋常高等小学校から西村山郡立西村山中学校(現寒河江高等学校)に入学しましたが、その後山形中学校(現山形東高等学校)に転校し、東京高等商業学校(現一橋大学)に進みました。
その後、大正元年(1912)、山形市の伯母新関せいの養子となり新関家を継ぎ、第一高等学校文科を経て、同 4 年に東京帝国大学文科独逸文学科を卒業しました。
卒業後は第四高等学校(金沢)・学習院大学・東京文理科大学の教授を歴任し、浦和高等学校長並びに初代埼玉大学々長、共立女子大学文芸学部長・同文学芸術研究所長などの重責を担いました。
この間、同 13 年(1924)から3年間は、宮内省在外研究員としてドイツ・オーストリア・スイスに留学して、西洋演劇やドイツ近代文学に関する研究を深めました。その結果、昭和14 年(1939)には、ドイツの劇作家シラーとギリシャ悲劇についての論文で文学博士になりました。同 18 年から 15 年の歳月を費やしてまとめた『ギリシャ・ローマ演劇史』全 7 巻は、西欧古代劇の最も優れた研究であり、日本人による外国文学研究の最高峰と称えられました。これらの業績に対し、日本学士院恩賜賞が与えられ、文化功労者の名誉が贈られました。
<年表>
明治22年 8月4日、谷地村横町(現河北町谷地横町)に生まれる。
明治35年 谷地尋常高等小学校卒業、西村山郡立西村山中学校入学
明治38年 山形県立山形中学校に転校、明治40年同校卒業
大正元年 山形市伯母、新関せいの養子となり新関家を継ぐ。
大正4年 東京帝国大学文科独乙文学科卒業
大正6年 第四高等学校(金沢)教授
大正10年 学習院大学教授
大正13年 宮内省在外研究員としてドイツ・オーストリア・スイスに留学
昭和14年 「シラーとギリシャ悲劇」により文学博士となる。
昭和20年 浦和高等学校長
昭和22年 東京文理科大学教授
昭和24年 埼玉大学学長
昭和28年 共立女子大学教授、文芸学部長。翌年、文学芸術研究所長
昭和30年 ドイツ連邦共和国(西ドイツ)より「シラー永眠150年記念牌」受賞
昭和32年 共立女子学院理事
昭和33年 「ギリシャ・ローマ演劇史」により、日本学士院恩賜賞、日本芸術院賞受賞
昭和34年 ドイツ連邦共和国国立ゲーテ研究所より、「ゲーテ誕生210年祭記念ゲーテメダル(銀賞牌)」を贈られる。
昭和38年 日本学士院会員
昭和40年 都民劇場会長
昭和42年 文化功労者。勲二等瑞宝章受章
昭和43年 「詩人フリードリヒ・シラーとその美的教育論」について、昭和天皇講書始御進講を行う。
昭和44年 5月30日、最初の河北町名誉町民の称号を受ける。
昭和48年 ギリシャ国政府より、「文化功労フェニックス勲章」を贈られる。
昭和54年 没(満90歳) 山形市緑町善竜寺に眠る。勲二等旭日重光章受章
平成8年 5月、ご子息新関淑郎氏より、良三氏の蔵書・研究ノート・勲章などを町に寄贈される。6月企画展を開催
平成21年 12月、新関良三没後30年記念展を開催
<主な著作物等>
西洋演劇史 希臘悲劇論 1-2冊(出版:岩波書店 大正14年)
演劇論集(出版:岩波書店 大正14年)
西洋演劇研究(出版:春秋社 昭和6年)
近代ドイツ文学の展望(出版:第一書房 昭和9年)
現代独逸文学の展望 (出版:第一書房 昭和9年)
独逸國演劇法 演劇調査資料 第1輯(出版:文部省 昭和15年)
独逸の演劇経営 演劇調査資料 第3輯(出版:文部省 昭和16年)
イタリヤ・アメリカ・イギリス・ソ聯邦の演劇経営 演劇調査資料 第4輯(出版:文部省 昭和16年)
シラー選集 第1-6巻(出版:冨山房 昭和16~21年)
シラーと希臘悲劇(出版:東京堂 昭和16年)
演劇研究(出版:畝傍書房 昭和17年)
日本演劇論(出版:畝傍書房 昭和17年)
演劇の本質(出版:東京堂 昭和18年)
西洋文学論考(出版:愛宕書房 昭和18年)
演劇(出版:鎌倉書房 昭和22年)
古代劇(出版:鎌倉書房 昭和22年)
講書始御進講 詩人フリードリヒ・シラーとその美的教育論(出版:共立女子学園 昭和23年)
希臘羅馬演劇史 第1-7巻(出版:東京堂 昭和18~27年)
ブルグハルト著訳 ギリシャ文化史 第1-6巻(出版:東京堂 昭和27年)
シラー 生涯と著作(出版:東京堂 昭和34年)
ゲーテとその時代 小牧健夫博士喜壽記念論集(出版:東京郁文堂出版 昭和34年)
ドイツ文学における伝統と革新 手塚富雄教授還暦記念論集(出版:筑摩書房 昭和35年)
ギリシャ・ローマの演劇(出版:東京堂 昭和35年)
劇文学の比較研究(出版:東京堂 昭和39年)
詩人シラー 研究と随想(出版:筑摩書房 昭和42年)
現代のギリシャ悲劇 復活と創作 1-2巻(出版:東京堂 昭和43年)
新関良三演劇論文集(出版:東京堂 昭和52年)
ドイツ文学点描集(出版:学術図書出版 昭和55年)
シラー戯曲研究『群盗』(出版:三修社 昭和57年)
世阿弥随筆(出版:檜書店 昭和62年)